テクニカル指標のひとつである「ボリンジャーバンド」は多くのトレーダーに利用されていますが、なぜそれほど人気なのか気になります。
そこで今回はボリンジャーバンドの基本的な概念から、具体的な使い方、そして使用上の注意を解説します。
遅効性の指標ゆえの弱点も紹介しますから、ボリンジャーバンドを安全に利用したい方は必読です。
Contents
ボリンジャーバンドを解説!エクスパンション・スクイーズ・バンドウォークとは?
ボリンジャーバンドを知る上で大切になってくるのが以下の3つです。
- エクスパンション
- スクイーズ
- バンドウォーク
相場が大きく動いていることを示唆するエクスパンション
ボリンジャーバンドにおいてエクスパンションは値幅が大きく動いている状態を示唆します。
ローソク足は一定の方向に大きく伸び、ボラティリティが短時間で急増します。
エクスパンションにあるとき、相場はトレンドを形成します。
いち早くエクスパンション状態であることを確認し、トレンドに乗れば大きな利益を得られるでしょう。
また、エクスパンションはスクイーズの後に起きる傾向があります。
そのためスクイーズを相場が力をためている状態、エクスパンションを相場が力を解放している状態と考えることもあります。
相場が頓着状態であることを示唆するスクイーズ
スクイーズとは買いと売りがバランスしている状態のことです。
ローソク足が短く値動きが小さい状況が続くため、どんな取引でも大きなリターンを得ることはできませんが、手痛い損失を被ることもありません。
スクイーズでは相場のトレンドがバランスした状態が続くため、いったん相場が動き出すと大きな流れになることが多いです。
そのためスクイーズは出口戦略を考えるより相場の動きが停滞したことを測るための指標として利用されます。
値動きの予測に使えるバンドウォーク
バンドウォークとは、値段が標準偏差で求めた上限値もしくは下限値に沿って動いている状態を指します。
値動きが標準偏差の動きとリンクするため先の展開が読みやすく、ボリンジャーバンドを利用するなら是非ともマスターしたい概念のひとつです。
しかし、当然ですが値段がいつまでもバンドウォークするとは限りません。
バンドウォークをいち早く捉えて、その標準偏差の動きに合わせた取引を即座に発注しても次の瞬間大きくトレンドを変えることはあります。
ボリンジャーバンドを利用した手法
ボリンジャーバンドがどのようなものかとエクスパンションなどの重要な概念も分かりました。
次はボリンジャーバンドの具体的な活用方法について解説します。
スクイーズからエクスパンションになった際にトレンドに乗る
スクイーズが続いた後のエクスパンションは勢いよく値が動き出し一方向のトレンドが続く可能性が高いです。
そのため、エクスパンションの入り口を捉えるのに成功したら、そのトレンドに乗った取引(上に抜けたら買い、下に抜けたら売り)を行いましょう。
注意したいのは焦ってエクスパンションに入るまえにトレンドと逆に張ってしまうことです。
逆に張ってしまうと損失がかさむため一刻も早く損切りしましょう。
自分のポジションが誤っていないか確認する
FXで成功するには大きな利益を上げることが重要ですが、それに負けないくらい損失を抑えることも大切になります。
ボリンジャーバンドを使って値動きがバンドウォークしているか定期的に確認すれば、自分のポジションが逆張りになっていないか調べられます。
上に抜ける形でバンドウォークしているにもかかわらず売りポジションをとっているなら買いに変更しないと継続して損失を出します。
このようにボリンジャーバンドを使えば損失を最小限にできます。
レンジ相場を形成している時の小さな反発(回帰)を狙う
ボリンジャーバンドがスクイーズしている状態はレンジ相場にあたります。
レンジ相場にあるとき値動きは標準偏差の上下限値内に99%収まります。
これは統計データからも間違いないことです。
そのため、ローソク足が標準偏差の上限もしくは下限に到達した場合、次の値動きは逆の方向になると予測できます。
これを利用してローソク足が標準偏差の上下限に達した際に逆張りする取引手法がトレーダーのなかで定番になっています。
初心者でも指標を見ながら簡単にできるため人気です。
ボリンジャーバンドを利用する際の注意点
ボリンジャーバンドはトレンドを形成する動きを読んだり、現在のポジションの妥当性を確認するのに役立つ素晴らしい指標ですが欠点が無いわけじゃありません。
ニセのバンドウォークは大きな損失につながる
いったんバンドウォークに入ると、標準偏差の上限もしくは下限の動きと値動きが一定期間リンクするというのがボリンジャーバンドにおける考え方です。
しかし、バンドウォークは未来の値動きを約束するものではありません。
バンドウォークに入ったと判断できた直後に、標準偏差とは全く違う値動きをすることもあります。
そのため、バンドウォークに頼りきった取引はリスクが高いです。
対策としてはサポートラインを設定して、それをブレイクするまではバンドウォークが成立していないと判断する方法があります。
トレンド入りのタイミングを見極めるのは難しい
ボリンジャーバンドはスクイーズの後にエクスパンションが起きるとしています。
実際にその傾向は強いのですが、エクスパンションに入ったかどうかを判断するのは簡単じゃありません。
場合によってはバンドウォークに入っただけのように見えることもあります。
また、ローソク足が標準偏差の上下限を割り込んだ場合は、相場が回帰する可能性も考えなければなりません。
さまざまな可能性があるため、ボリンジャーバンドだけでトレンドが形成を判断するのは難しいです。
複数の指標を組み合わせて、より精度の高い判断をする必要があるでしょう。
短期の値動きに執着しすぎて長期的な視点を失いやすい
ボリンジャーバンドは、短い時間における値動きに注目する場合に頻用されるテクニカル指標です。
そのため、1時間足しか見ないで取引を決めてしまうトレーダーも少なくありません。
これでは長期的に見た場合にどんなトレンドにあるのかを正確に捉えることはできません。
例えば、1時間足では上昇トレンドを形成しているように見えても週足で見ると下落トレンドになっている場合もあります。
短期売買がメインでも長期的視点を忘れないようにしてください。
『FX【ボリンジャーバンド】用語の解説と手法、注意点について徹底解説!』のまとめ
ボリンジャーバンドは現在の値動きを正確に捉え、値動きの展望を予測するのに便利で多くのトレーダーが好んで利用しています。
レンジ相場を捉え、回帰トレンドを狙うと利益を出しやすいメリットがありますが、突如として一方向に大きく動くような「ダマシ」もあるため頼り過ぎると痛い目を見ることになります。
そのため、ボリンジャーバンドはあくまで遅効性の指標と考え、未来を判断するのに用いるのを控えるトレーダーもいます。
ボリンジャーバンドをリスクを抑えて活用するなら、現在の相場がレンジ相場かどうか確認する程度にとどめておくのが賢明でしょう。