FX取引で使われる理論の1つに「エリオット波動」というものがあります。
テクニカル分析の理論で、元々は株式投資で使われていて、FXでも利用されるようになりました。
チャートからより多くの情報を読み解いたり、その後の動きを予測することができるようになり、より多くの成果を残すことができるようになります。
今回はそんなエリオット波動について紹介していきます。
Contents
エリオット波動の基本・条件について
まずは、エリオット波動を使うにあたって理解しておくべき基本的な内容について紹介していきます。
これらをきちんと知っておくことで、実際のチャートにもエリオット波動を使うことができたり、他の理論と併用していくことができます。
そのため確実に身に付けておきましょう。
相場は5つの上昇波と3つの下降波で1つの周期を形成している
エリオット波動で最も基本になる考え方は、「相場は5つの上昇波と3つの下降波で1つの周期を形成している」ということです。
相場は5つの上昇波と3つの下降波のサイクルによって常に一定のリズムの値動きをしているという考え方です。
上昇波だからといって常に相場が上昇しているわけではなく、上昇相場は「上げ→下げ→上げ→下げ→上げ」という5つの連続した波から、下降相場は「下げ→上げ→下げ」という3つの波から形成されているとみることができます。
相場は無数のNが連続することで構成されている
エリオット波動では、相場は必ず斜めになったNの文字が連続することによって動いていると考えます。
そのため上昇傾向や下降傾向にあったとしても、上がり続ける、下がり続けるということはなく、どこかでトレンドが入れ替わり、N字を形成するということを常に意識しておかなければいけません。
また、その相場によってNの文字の線の長さは異なるので、Nの形が見つけにくいということもあり得ますが、必ずこの形になっています。
エリオット波動でテクニカル分析を行う時には、常にこのことを考えながらチャートを確認するようにしましょう。
上昇波のそれぞれの特徴
5つの上昇波はそれぞれ異なる特徴を持っています。
それらをきちんと理解しておくことで、FX市場で今どのようなことが起きているのかを知ることができ、自分がどのような行動をすべきなのかを判断することができます。
それぞれの特徴は以下のようになります。
- 第1波:じわじわとした動きで徐々に方向性が明らかになる。
- 第2波:第1波と反対方向に、大半を打ち消すようにかなり強い動きをする。売買高が低下することで収束する。
- 第3波:最も強く長い動きで、5波のうち最大値の動きとなることが多い。
- 第4波:乱高下が続く複雑な動きで高値持ち合いに近い。
- 第5波:かなりのスピードと勢いをもった動きになり、バブル的な急騰となることが多い。
エリオット波動の見つけ方・使い方(フィボナッチリトレースメントとの併用)など
ここからは、エリオット波動がどのようなものなのかを踏まえた上で、実際にチャートでどのようにしてエリオット波動を使うことができる場所を見つけるか、またどのように使うのかといったことを紹介していきます。
より実践的な内容となるので、これらをしっかりと押さえて実際のFX取引でも使えるようにしましょう。
エリオット波動の3つの原則で使う場面を見つける
エリオット波動には3つの基本的な原則があります。
上昇波を見た時にその3つをすべて満たしているチャートの場合、エリオット波動を適用しやすいチャートだと判断することができ、下降第3波の動きを予測しやすくなります。
その原則は以下のようになります。
- 第3波が第1波・第3波・第5波の上昇の中で一番短くなることはない
- 第2波が第1波のスタート地点を下回ることはない
- 第4波が第1波の高値を割り込むことはない
この3つの原則を満たしている部分を見つけることで、エリオット波動が使うことができる場所を見つけることができます。
フィボナッチとの組み合わせで転換点を見極める
エリオット波動では、転換点を予測し、エリオット波動理論が成り立つかどうかを見極めなければいけません。
ですが波が起こる回数自体はわかっても、転換点を予測することは難しいです。
そんな時役に立つのが、フィボナッチとの組み合わせです。
実際のチャートでは、第2波の下り坂が終わったあとの、第3波の上り坂の長さがフィボナッチ比率である1.618倍の長さになることが多く確認されています。
そのため相場がエリオット波動理論で動く場合においては、エリオット波動とフィボナッチを組み合わせることにより、値動きを細部まで予測することができるのです。
第3波の波の上昇や第4波で反落を狙う
エリオット波動を実際のチャートで使う場合には、上昇第3波や第4波の動きに合わせて取引を行うという手法があります。
第3波の場合は最も上昇する力が強いため、初心者でも利益を狙いやすいです。
この部分を見つけるためには、第2波の安値が第1波の安値を下回らないことに注意すると見つけやすいです。
その部分を見つけたら、第3波が第1波の高値を超えた段階でエントリーすると良いでしょう。
第4波の場合は、第3波が反落し始めたらすぐに空売りをすることで利益を出すことができます。
こちらの場合は値幅の動きが小さいため、反落したタイミングを見極めることが重要になります。
エリオット波動を利用する際の注意点
ここまで紹介してきたようにエリオット波動にはさまざまな利点があり、FX取引においても非常に有効な理論です。
ですが良い点ばかりではなく、利用する際には気を付けておかないと思わぬ落とし穴に落ちてしまう可能性もあります。
ここからはそんなエリオット波動を利用する際の注意点を紹介していきます。
延長(エクステンション)が起こると、波の数が変わってしまう
エリオット波動では、上昇波の1つが大きく引き伸ばされてしまう延長(エクステンション)という現象が起きてしまうことがあります。
この状態になると、延長した上昇波の中でさらにエリオット波動が成立してしまい、波の数が増えてしまいます。
そのような状態になってしまうと波の確認が難しくなってしまい、予測も難しくなってしまいます。
また、延長した中でもさらに延長してしまうこともあるので、そのような場合にはより難しくなってしまいます。
フェイリャーが起こると波動が壊れることがある
フェイリャーは波失敗・未達成という意味を持つ言葉で、これが起きてしまうと波動が壊れてしまいます。
上昇第5波に見られる特有の動きで、本来ならば第3波の頂上を超えるはずの第5波の推進力が弱く、第3波の頂上まで届くことなく下降波に転換してしまう現象です。
フェイリャーの状態になってしまうとダブルトップの状態になってしまい、本格的な下降トレンドになることが予測されます。
そのため注意深く観察する必要が出てきてしまいます。
1つの波動がいつまで続くか分からない
エリオット波動では波動の見極めが重要になってきます。
ですが実際にリアルタイムトレードでは1つの波がどこまで続くのかが分からないため、予測を立てることが難しいです。
特に前述した延長が起こっている場合には、波が続いているにもかかわらず転換が起きたと思ってしまい、混乱してしまうこともあります。
そのため後からチャートを見てみたら危険な部分などを見つけることもできますが、リアルタイムでトレードをしている場合には見極めが難しくなってしまい、油断していて思わぬ失敗をしてしまう可能性も十分にあります。
『FX【エリオット波動】条件や見つけ方・使い方・注意点などを解説!』のまとめ
FXで、より有利に取引を進めようと思った時には、エリオット波動は非常に重要な理論になってきます。
ですが、ただそれを使えばよいというわけではなく、エリオット波動理論の詳細を理解し、使うべき場面を見極めなければ、その利益を享受することはできません。
また、エリオット波動だけでなくフィボナッチなどの他の理論と組み合わせることにより、より有利な理論にもなっていきます。
特に、FXはハイリスクな部分もあるため、理解が不十分だったために損失を大きくしてしまうということも起こりえます。
エリオット波動を実際に使う場合には、相場の動きを把握してからトレードを行うようにしましょう。