FXのロスカットをご存知ですか?
今回は、ロスカットは何かという基礎的な内容から関連指標の計算方法、ロスカットの回避方法などについて紹介します。
ロスカットがどのような仕組みなのかを理解し、そのメリットやリスクについても十分に理解した上で取り組んでいきましょう。
Contents
FXのロスカットとは?計算方法について
まずは、FXのロスカットとは何かを詳しく理解しておきましょう。
基本的な概念に加えて、なぜロスカットがFXに導入されているのか、関連する指標として知られる証拠金維持率をどのようにして計算するのかを紹介します。
ロスカットとは何か?
ロスカットとは、証拠金維持率が一定以下になったときに強制的に決済するシステムです。
FXでは、レバレッジをかけられる影響もあって大きな為替レートの変動に伴う莫大な損失が生まれるリスクが常にあります。
ロスカットとは損失を意味する「ロス」をカットする目的で導入されているもので、損失がある程度大きくなったと判定された時点で強制的にすべてのポジションが決済されます。
ロスカットのルールは業者ごとに個々に定めています。
ロスカットは大損を防ぐ仕組み
ロスカットがFXに導入されているのは大損を防ぐことが目的です。
為替の大きな変動は社会情勢の影響や経済変動によって起こり得るもので、初動を見落として引き上げのタイミングを見誤ると取り返しが付かないような損失を生むリスクがあります。
そのため、投資家の資産を守る目的でロスカットが導入されているのです。
ただ、ロスカットの基準は法律によって厳しく統制されているわけではないので、業者ごとに異なる基準になっています。
ロスカットに関わる証拠金維持率の計算方法
ロスカットが行われるかどうかは、証拠金維持率が業者の定める数値を下回ったかによって決まります。
証拠金維持率の計算は以下の通りです。
純資産 ÷ 必要証拠金 × 100 = 証拠金維持率
現状の証拠金維持率がどの程度かを判断することが可能です。
純資産とは口座に投入された資金から注文証拠金を引き去ったものです。
つまり、証拠金維持率は端的にいえば投入資金を100%としたときに投資している資金が何%の価値を持っているかを意味しています。
ロスカットを回避する方法は?
ロスカットを回避することが重要という話題が上がることがよくあります。
ロスカットは大損のリスクを低減させるものなら回避不要と思うかもしれませんが、なぜ回避を考える必要があるのでしょうか。
ロスカットを回避することで得する場合がある
ロスカットは、証拠金維持率に基づいて大きな損失を生まないようにするという点では優れています。
しかし、急変動でなければ回避した方が得な場合も出てきます。
例えば、証拠金維持率が50%以下でロスカットが行われる業者で取引をしていて、ロスカットが行われたとしましょう。
しかし、その数時間後に為替が大きく動いて証拠金維持率が100%を超えるということもあります。
もし、良い方向に変動する自身があるのであれば、ロスカットを回避した方が良いと言えます。
その回避方法について解説します。
証拠金を増やす
FXの口座に証拠金を追加するとロスカットを回避しやすくなります。
必要証拠金の維持率が自然と高くなるので、ロスカットの対策として有効です。
ただし、為替のトレンド次第では何度も証拠金を追加する必要があるので注意しましょう。
どの程度入金が必要かも予測してからアクションを起こすのが賢明です。
実効レバレッジを低めにする
ロスカットを回避するには実効レバレッジを低めにするのが効果的です。
追加証拠金を入れるのと類似した考え方ではありますが、実効レバレッジが高いと相場変動による変化も大きくなります。
初心者の場合には2倍から4倍くらいを目安にして運用をしていくのが無難です。
必ずしも追加証拠金を入れて実効レバレッジを減らす必要はなく、取引数量などを適宜調整することによって適切な水準の実効レバレッジを維持していくことができます。
損切ポイントを決めておく
FXでは、トータルで利益を生み出せるようにするために損切ポイントを決めておくのが重要なのは確かですが、ロスカット対策としても効果的です。
これは損をしそうだと判断するポイントを決めておくことによって、証拠金維持率を下げる要因になるものは速やかに売却してしまえます。
また、FXでは損切を予定して逆指値注文をすることも可能です。
やや高度な方法ではあるものの、喫緊のときには効果的な方法なので合わせて検討しましょう。
急な変動にはロスカットが効かない!注文が滑る理由
ロスカットがあるからFXは大損をすることはないと思っている人もいますが、必ずしもそうではありません。
実は、ロスカットがあまり意味をなさないケースもあるのです。
注文が滑る理由でもあるのでどんなケースがあるのかをしっておきましょう。
「注文が滑る」とは?
FXではしばしば注文が滑るという表現をします。
注文が滑るとは注文したときから価格が変動してしまい、希望とは違う価格で注文が成立してしまうことです。
値段を指定せずに注文する成行注文や指値注文、逆指値注文のときに発生するリスクがあります。
注文と成立の間にサーバーで処理する時間がかかることがからタイムラグがあるのが注文が滑る原因です。
そのわずかな間に急激な相場の変動があると、最初から大きな損失が発生してしまうこともあるので注意が必要です。
大きな為替変動には対応不能
注文が滑るケースが頭に入っていると、ロスカットが意味をなさないのがどういうときかがわかります。
大きな為替変動があったときには、一秒の間に数十円という単位で変動することも少なくありません。
その変動によって証拠金維持率が基準以下になり、強制決済が行われることになったとしましょう。
その処理をサーバー上で行っている間に、さらに変動して損失が莫大になることがあるのです。
多くの人が同時にロスカットになるのでサーバー負荷も大きくて処理が遅れがちなのも原因です。
週末の変動にも対応不能
FXは平日にのみ行われているのが特徴で週末には取引ができません。
しかし、社会は週末でも動いているので為替が大きく変動するようなことが起こることはよくあります。
その結果として週明けに突然為替が大きく変わってしまい、途端にロスカットになるということもあるのです。
週末の二日間に、社会的に複数の動きがあった場合には大きな変動が起こってしまい、大幅な損失を生んだ状況で強制的に決済させられてしまうこともあります。
ゼロカットとは?海外FX会社にのみ存在するシステム
海外FXでは、ゼロカットという仕組みが取り入れられていることがあります。
ロスカットとゼロカットは何が違うのでしょうか。
ゼロカットとは何かを説明した上で、メリットや国内でゼロカットがない理由について紹介します。
ゼロカットとは何か?
ゼロカットとはロスカットの一種として考えることができる仕組みで、口座に投入した資金以上の損失が為替の大きな変動などの原因で生まれた場合に、損失を補填してもらえる制度です。
証拠金以上の損失が出てしまった時でも、追証が発生せずに証拠金以上の損失は一切発生しません。
ゼロカットのメリット
ゼロカットが取り入れられていると、強制的に決済をさせられた上に追加でお金も支払わなければならないという状況を回避できることです。
国内FXでは口座の残高以上に損失が出てしまった場合には追加証拠金を入れて支払わなければなりません。
その分をFX業者が負担してくれるのがゼロカットです。
このため、海外FXではレバレッジの高い取引を続けやすいというメリットがあり、大きな資産形成に成功しているケースも多くなっています。
国内FXでゼロカットがないのはなぜか
ゼロカットは、法的に規制を受けているために日本ではできないのが理由です。
金融商品取引法で、資産運用によって生じた損失の全部または一部を補ってはならないことが定められています。
違法行為をしてまでゼロカットがあるのを売りにして理米須派を獲得しようとする意味もありません。
そのため、国内FXでは利用できず、海外FXでのみ使えるシステムになっています。
『FXのロスカットとは?計算方法や回避方法、効かない場合について』のまとめ
FXでは、大きな損失を生んでしまうリスクを低減させる目的でロスカットが導入されています。
証拠金維持率がFX業者の定める基準以下になると、強制的に全ての取引が決済されるのが特徴です。
これによって、為替変動による損失が大幅に増えるのを防げると考えられていますが、ロスカットは急激な為替変動や週末の値動きに対応できないというデメリットがあります。
さらに、実際にはロスカットにより大きな損失が生まれることもあるので回避しながら運用するのが合理的です。
レバレッジの管理や損切ポイントを決めて上手に運用していきましょう。