FXの通貨ペアを様々な組み合わせで取引していると、為替相場が他の部式や先物といった金融商品と連動していることに気がつきます。
為替相場の変動は通貨売買が頻繁に行われる取引材料となるからこそ、相関関係が成り立つわけです。
では、FXで取引を行う際にはどのような金融商品との連動パターンを知っておく必要があるのでしょうか。
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FXの様々な相関関係(日経平均と円・ダウ平均とドル・原油とカナダドル・中国株とオーストラリアドル)
FX取引を継続する上で経済ニュースに敏感になることは、取引材料として他の金融商品相場が影響して相関関係にあるためです。
日経平均とドル円は正の相関関係にある
日経平均が上昇するとドル円が連動して上がることは、FX取引を行う上で誰もが知っている常識となっています。
逆にドル円が下がると日経平均も下降するという相関関係は、正の相関関係に違いありません。
ドル円が上がることは円安ドル高の状態となるので、輸出産業は同じ金額のドルを得た時に日本円にしてみれば利益が増えたことになります。
日本経済は内需が大きいことは確かですが、ドル円相場との相関関係は輸出業界がドル決済で支払いを行っているからです。
ダウ平均とドルも正の相関関係にある
ダウ平均はアメリカ工業株の平均ですから、ダウ平均が上がればドルも連動して上がることになります。
ドルと円は逆相関ですから、一見するとダウ平均が上がると日経平均も下がると思われがちですが、日本にとってドルが上がることは円安となるためにプラスです。
また、基本的にはダウ平均株価が上がれば日経平均もそれにつられて上がります。
原油とカナダドルの関係は相関関係が強い
カナダは原油輸出国として知られているので、原油価格とカナダドルは相関関係が強く連動しやすいです。
原油価格と通貨が連動することは、産油国で他の産業がGDP比率で少ないほど相関関係が一致しやすくなります。
相関係数がほとんど1に達していることから、カナダドルとの通貨ペアで取引する際には、原油先物取引価格も合わせてチェックしておく必要があります。
中国株とオーストラリアドルは輸出量の増減により相関関係が増している
中国株とオーストラリアドルの相関関係は、一見するとさほど強くないと思われがちです。
確かにかつては相関関係が低かったですが、オーストラリアが食料品の輸出量として日本よりも中国との取引量が増えたことにより相関関係が強くなりつつあります。
中国株が高くなることは中国国内の景気が良いことになるので、輸出量が増えてオーストラリアドルも上がります。
オーストラリアドルは従来アメリカドルとの相関関係が強かったですが、中国株との相関関係が年々強くなっています。
相関関係を見る際の注意点
FX取引を行う上で株式相場や商品先物価格との相関関係が出やすいことは確かですが、特別な事情が発生した時には相関関係が逆になる場合があります。
2020年のダウ平均とドルは逆相関関係が成り立つ
ダウ平均とドルは本来正の相関関係にありますが、2020年には世界的な感染症流行に伴いダウ平均が上昇しているにも関わらずドルが下げる展開が起きています。
通貨ペアの取引は世界の通貨需要に応じて相場変動が起きるので、産業構造の変化だけでなく輸出入状況が変わるだけでも相関関係は逆転することが珍しくありません。
輸出国から輸入国への転換が起きる場合だけでなく、各国中央銀行の方針にも左右されて相関関係に変化が生じることもあるわけです。
日経平均と円の相関関係が崩れる時はアメリカの政権が民主党
日本経済はかつて自動車や鉄鋼の輸出国だったために、アメリカとの貿易摩擦が発生して急激な円高により輸出産業が壊滅的な打撃を受けました。
貿易摩擦解消を強烈に迫るアメリカの民主党政権に長く日本は苦しめられてきたことにより、自動車の現地生産を進めて日本国内は内需拡大を行ったわけです。
そして、かつては日経平均と円は強い相関関係があったものの、近年は相関関係が弱まっています。
輸出入が逆転すると相関関係も変わる
原油生産量が多い国ほど通貨との相関関係が強く出やすいですが、シェールオイル採掘が進んだことにより原油価格とダウ平均がアメリカでは相関関係が薄れています。
原油輸入国から輸出国へ転換したことにより、原油を自給自足できる状態になったアメリカを始めとするシェールオイルが取れる地域では為替との連動に影響が出ている状況です。
また、人口増加に伴い食料輸入量が増えている国では、基軸通貨との為替取引が頻繁に行われるようになって通貨相場が高止まりしやすくなります。
株式相場や商品先物取引価格との連動は、各国の輸出入資源状況や取引内容により相関関係が崩れてしまうことがあります。
「FXの通貨における相関関係について解説!相関関係を見る際の注意点」のまとめ
FX取引を行う際には、相関関係にある株式相場や商品先物取引価格をこまめにチェックしておくことが望ましいです。
なぜなら、通貨ペアのチャート画面を見ているだけでは、なぜ値動きが発生しているのか理由が分からない情報不足が発生しやすくなるからです。
すると、今まではなぜ急激な通貨相場変動が発生しているのか、自然に分かるようになります。
しかし、通貨ペアと株式相場や商品先物価格は他の大きな要因が発生すると、従来の相関関係が成り立たなくなってしまうことがあるわけです。