ブレグジットを分かりやすく解説!ブレグジットが為替に与える影響

ブレグジットを分かりやすく解説!ブレグジットが為替に与える影響

2020年末に離脱猶予期間が切れる、イギリスのEU離脱はFX取引をする方たちにとって現在最大の関心事ともいえます。

イギリスとEUとの間で新たな通商協定が締結せずに猶予期間が過ぎたら、いったんどんな不測の事態が起きるか分かりません。

もし、2020年3月に起きたポンドの大暴落を超えるような衝撃があったらたまったものではありません。

ただでさえこのご時世の足腰が弱っているヨーロッパ経済を襲ったら、為替市場に与える影響は甚大なものになるでしょう。

今回は、そんなEU離脱の理由や離脱の影響、そして最近の動向について解説します。

イギリスがEUを離脱した理由は?

イギリスでは、以前からEU離脱の声が上っていましたが反対派も多く、なかなか離脱に舵を切れない時期が続きました。

その後、2020年1月に離脱となりましたが、その背景にはEUを離脱しないと解決しない事情がありました。

他にも理由はあると思いますが、主だと思うのは以下の3点です。

外国人労働者に仕事を奪われていると感じる国民が増えた

EUに加盟している国の間では人の行き来が自由になっています。

このルールを利用して、貧しい国の人々が豊かな国に大勢移り住むことがEU域内では常態化していました。

イギリスにも毎年20万人近くの移民が急増しました。

移民の増加で問題になったのが雇用です。

農業などの仕事強度が高く、賃金が低い分野で移民労働者が目立つようになります。

これを「雇用が奪われた」と解釈するイギリス国民が急増し、不満が溜まっていました。

移民のために行政サービスの質が低下するリスクがあった

イギリスのEU離脱の引き金となった理由の2つ目は行政サービスの質の低下です。

イギリス政府は移民に対しても一般国民と同じ行政サービスを提供していたため、毎年20万人のペースで移民が増加していくと公共施設がパンクする可能性がありました。

顕著なのは病院です。

移民が就ける仕事は多くが肉体労働ですからケガをすることも多く、イギリス国民同様に病気にもかかります。

急増した移民に対して病院のキャパシティは変わりません。

各種窓口で待たされることも増え、行政サービスの使い勝手は少しずつ低下していきました。

自由に貿易ができない

EUに加盟している限り、イギリスは自国の判断だけでEU域外の国と自由に貿易することができません。

日本やその他の国々と直接交渉をして、条件の良い貿易を行おうとしても不可能でした。

イギリスは過去に世界各地に植民地を作った歴史があり、自国とスムーズに貿易ができる国が数多くあると考えていました。

EUに加盟する限り、こういった有益な貿易を自国の判断で行うことができないため、みすみすビジネスチャンスを逃しているという批判がありました。

ブレグジットによって為替(主にポンド・ユーロ)にどんな影響を与えた?

イギリスの一方的な離脱はEU加盟国との亀裂を生み、ポンドの価値を大きく低下させると考えられていました。

実際、EU離脱後その予想は現実になっています。

ユーロやポンドに影響がある場合、為替全体にも大きな影響を及ぼします。

イギリスのEU離脱によって、ユーロ・ポンドが主役となった為替市場の変化を確認してみましょう。

ユーロに対して大きく値を下げたポンド

イギリスがEUから離脱すると、しばらくして市場は突然アクションを開始します。

2020年2月末からポンド・ユーロの為替レートが急激に下落し始めます。

2月23日に1.19だった為替レートは3月19日には1.06まで急落します。

その後1.14まで持ち直しますが以前の水準には程遠い低いレートのままです。

動きはあるものの、長期的に見れば下降トレンドで今後も少しずつポンドの価値は減っていくことが予想されます。

ドルに対して35年ぶりの安値をつけるポンド

ポンドは、2020年3月にユーロだけでなく、世界の主要通貨に対しても同様に大きく値を下げました。

10%以上下げた通貨も数多くあり、為替市場に大きな不安が広がったのは周知の事実です。

米ドルに対しても大きく値を下げました。

一時期は35年ぶりという安値をつけましたが、その後ドルを買う動きは止まり、少しずつ値を戻し現在は大暴落以前の水準まで戻って来ています。

ポンド下落の影響を受けて円高が進行する可能性も

大暴落以降、ユーロ以外の通貨ではポンドの価値が以前の7割~9割程度まで回復しています。

しかし、定期的にポンドからの通貨避難が起きるため、大きくレートを下げる場面も目立ちます。

ポンド・円の為替レートも同様で、ポンド資産の避難先として円が選ばれているためか以前のレートより3%ほど低いところまでしか回復しません。

安全通貨としての価値が高い円は、いまだにポンドに対しては買われる傾向にあります。

イギリスとEUは最近はどのような状況?

最近、イギリスとEUの間に起きた出来事の中で、為替に影響がありそうなものを3つピックアップして紹介します。

2020年12月末までの離脱猶予期間が迫り、イギリスとEUの間でどのような駆け引きが行われているのか見ていきましょう。

こちらは新しい情報が入り次第、随時更新していく予定です。

締結の見通しが立たないEUとの通商協定

猶予期間が終わるまで1ヶ月を切りながら、未だイギリスとEUの間で必要な通商協定は結べていません。

貿易に関する様々な協定を結ぶ必要があるため、ひとつでも足並みがそろわないものがあると交渉が中断されてしまいます。

2020年12月5日に行われた話し合いでも、漁業権に関する交渉がまとまらず自由貿易協定の締結が延期になりました。

イギリスとEUの自由貿易協定が締結できない場合、経済の停滞は避けられません。

猶予期限を迎える前に、為替市場が大きく動く可能性は十分あるでしょう。

ワクチンをめぐってEU側から避難

ヨーロッパ経済に大きく影を落としているのはブレグジットだけではありません。

このご時世で雇用など様々な面で景気を押し下げています。

解決する鍵として期待されているのがワクチンです。

イギリスはアメリカやドイツの製薬会社と契約し、2020年12月末からワクチンの接種を始めるとしています。

しかし、EUはこのイギリスの判断を「軽率だ」と非難しています。

物流が滞るなどのトラブルが起きている

イギリスとの通商協定が締結されないことで、物流の停滞が一部で起きています。

イギリス南東部のケント州では、国境検問所の審査手続きがブレグジットの影響で変わったために、審査待ちをするトラックで長蛇の列となりました。

今後も通商協定が締結できない状況が続くと物流が滞り、イギリスとEUの経済の停滞要因になる可能性が高いです。

ユーロやポンドの通貨に影響が及ぶことは必至でしょう。

「ブレグジットを分かりやすく解説!ブレグジットが為替に与える影響」のまとめ

イギリスのEU離脱によって、ヨーロッパ経済は少なからずダメージを負うことは間違いありません。

現時点では、ポンドの下落がブレグジットの傷として目立ちますが、離脱猶予期間が完全に過ぎる2021年1月1日からは様々な問題が噴出するかもしれません。

また、このご時世の影響も無視できません。

投資・投機の世界は何があるか分からないので、上昇・下降どちらの目線も頭に入れておくことが大切です。

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