米国雇用統計発表が行われるときは、取引に注意した方が良いということがよく言われています。
初心者のうちは、特に米国雇用統計が重要という話を聞いたことがあっても、その発表内容がわからなかったり、内容を見て慌ててしまったりする傾向があります。
この記事では、米国雇用統計についての基本的な情報を解説し、戦略を立てる上での対策や注意点を紹介します。
Contents
米国雇用統計発表とは?いつ?具体的に何が発表される?
まずは、米国雇用統計の基本情報を紹介します。
米国雇用統計は、いつ発表されるか決まっているので日時がいつなのかを確認しておきましょう。
また、米国雇用統計に含まれている指標が何なのかについても簡単に説明します。
米国雇用統計の発表日時は基本的には第一週の金曜日
日本でも雇用に関わる統計が定期的に発表していますが、米国では日本よりも活発に雇用統計の集計が行われて公開されています。
BLSと呼ばれる米国労働省労働統計局では、雇用統計を月に一回の頻度で発表しています。
毎月12日を基準日としてその週における雇用状況の統計調査が行われ、結果を三週間後の週の金曜日、つまり大抵は翌月の第一週の金曜日に公表されるという仕組みです。
日本時間では、海外が[sg_popup id=”153″ event=”inherit”]夏時間[/sg_popup]なら21:30、通常の時間なら22:30が発表時刻になっています。
雇用統計発表日 | 第一週の金曜日 |
---|---|
発表される時間 | 夏時間:21時30分 |
冬時間:22時30分 |
ただし、金曜日が公休日などで、アメリカの市場が休みになる場合前日の木曜日に発表されることもあります。
米国雇用統計で発表される指標
米国雇用統計とは、アメリカの国内における雇用状況を統計的に調査したものです。
雇用統計では失業率や平均時給、過労働時間のように労働環境を示す指標が発表されます。
それに加えて、非農業部門雇用者数と業種別に製造業、金融機関などといった分類をした就業者数が盛り込まれています。
無作為のアンプル抽出による調査で実際のアメリカ経済の状況を反映していると考えられているデータになっています。
この中でも、「失業率」と「非農業部門雇用者数」の数値が最も重要とされています。
米国雇用統計が注目されるわけ
米国雇用統計は、あくまでアメリカ国内の労働状況の調査結果です。
なので、FXで米ドルが絡む取引をしていないのであれば特に注目しなくても良いのではないかと思うかもしれません。
しかし、米ドルは世界各国の通貨との取引では中心的な存在になっているため、米ドル価値の上下動は多くの二通貨間の為替レートに影響します。
また、政策金利についてもアメリカでの金利の引き上げや引き下げを見て他国が動くことも多いため、直接米ドルを使っていない場合にも重要な意味を持つのです。
米国雇用統計発表ではどういう戦略がベター?
米国雇用統計発表は毎月行われるので、発表に伴ってどういう取引をしていくかを考えるのはとても重要です。
どのような戦略を立てると成功できる可能性が上がるのかを、基礎的な考え方から順に説明していくので参考にして下さい。
米国雇用統計で注目すべき指標
まず戦略を立てるためには、米国雇用統計が発表されたときにどの指標を見るべきかを理解しておく必要があります。
特に重要とされているのが、失業率と非農業部門雇用者数の二つです。
失業率:労働をする意志がある労働力人口のうちで完全に失業している人の指標
非農業部門雇用者数:農業以外の業種で働いている人口
より詳細な分析をしたい場合には、平均時給についても確認すると大きな変動にも対応できるでしょう。
絶対値ではなく変化と予想との差を見る
米国雇用統計発表に基づく戦略を立てるときには失業率が何パーセントか、非農業部門雇用者数が何人かという絶対値を見てもあまり意味がありません。
FX取引での値動きを考える上では、前月からの変化がどうなったかを見るのが大切です。
また、米国雇用統計の発表に先立って各社から予想が公開されます。
この予想からのずれがどのくらい大きいかによっても値動きに傾向の違いが生じるので気を付けましょう。
基本的には、ずれが大きいほど変動が大きい傾向があります。
金利政策との関連を見よう
米国での雇用状況が良い方向に向かっているか、悪い方向に向かっているかによってアメリカのFRBが金利政策を考えます。
雇用統計の状況に応じて、FRBが選ぶ政策を想像して戦略を考えると大きな失敗がありません。
基本的には、雇用統計が改善していると政策金利が引き上げられ、雇用統計が低迷すると政策金利は引き下げられます。
そして、金利が引き上げられればドルを買う投資家が増え、引き下げられたらドルが売られるので為替レートも動くというのが原則です。
予想に合わせておくのが無難な戦略
基本的には、雇用統計の結果が予想通りだった場合には為替レートには大きな変動はありません。
予想の時点から早めに取引を進めているケースが多いので徐々に変化してきていたからです。
そのため、基本的には米国雇用統計の予想が発表された時点からポジションを再検討して取引をしておくのが無難です。
そうすれば、発表があったときに予想通りであればそのままのポジションを維持し、予想から外れたときにはすぐに対処をすると考えれば良いことになります。
予想とのギャップがあるときは注意
しかし、予想と実際にかなりのギャップがあると市場は混乱します。
事前に対策をした人が修正するための取引を行い、対策をしなかった人が値動きに合わせようという取引を進めるからです。
それによって二次的な値動きが起こることも少なくありません。
スリッページのリスクも高くなることから、落ち着くまでは現状を維持して様子を見るのが大きな失敗をなくすための戦略です。
米国雇用統計発表でFX初心者が注意するべき3つのポイント
米国雇用統計発表が行われるときには、FX初心者は何に注意したら良いのでしょうか。
まずは、押さえておくだけで大きな損失が発生するリスクを下げられる注意点を3つ覚えておきましょう。
予想外の値動きは起こると覚悟しておく
失業率と非農業部門雇用者数といった指標を見ていれば値動きが読めることになりますが、初心者が注意しなければならないのは予想外の値動きも起こるということです。
あくまで米国雇用統計は雇用に基づいた経済の判断指標なので、これだけで全てを見極めることはできません。
大きな市場の動きや輸出入の規制など、政策による大きな変動が起こることもあります。
雇用統計だけでなく平均株価などの様々な指標も見て予想力を上げるのも大切ですが、覚悟も決めておく必要もあります。
慌てて注文しようとしない
米国雇用統計の発表を受けて、大きな値動きがあるとわかったときに慌てて注文しないように注意しましょう。
注文が殺到するタイミングなのでスリッページが起こりやすく、損失を増大させてしまったり、利益になるはずが損失になったりする失敗はよく起こります。
その経験を積んできたベテランでも回避できないことがあるので、様子を見てから落ち着いて行動を起こしましょう。
情報整理もしないと判断を見誤るリスクも高いため、一度気を落ち着けるのが大切です。
予想の指標を比較して考える
米国雇用統計発表が重要という意識ばかり持っている初心者は予想の指標を確認するのを怠りがちです。
本当に指標が動いたかどうかも重要ですが、予想の指標に基づいて投資家がどう動くかも多大な影響を及ぼします。
そして、予測の理由を調べてみると本当に値動きが起こるのかを見極められるようになります。
まずは、予想を見て大きく動くと考えられているときには原因を調べるということを繰り返していると、自分でも合理的に予測可能になり、ワンランク上のFX投資家になれるでしょう。
『FXにおける米国雇用統計による影響|基本情報・戦略・注意点を解説』のまとめ
FX取引では米国雇用統計が重視され、発表によって大きく指標が動くと大勢の投資家が注文する傾向があります。
第一金曜日が発表日になるケースが多いので、その前に出る予想の分析を予め行っておきましょう。
失業率や非農業部門雇用者数、平均時給が特に重要な指標として知られています。
その変化が予想されたときには原因を調査し、早めの対策を講じるのが大切です。
初心者のうちは、雇用統計が発表されてから焦って注文しようとしてスリッページなどで失敗することがよくあります。
取引を焦らずに、落ち着いて対処するように心がけましょう。