米ドルは世界最大の取引量を誇る基軸通貨です。
FXにおいてもドルが中心的役割を担っており、その中でもユーロドルやドル円の取引量は最も多く、トレードの通貨強弱を比較する上でもドルは重要な通貨になります。
そのため、ファンダメンタルズ含めニュースもチェックする必要があります。
米国の金融政策もかなりの為替変動があるため、FXトレードにおける指標イベントにもなっています。
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FXにおける米ドル(USD)の特徴や役割
国際的な金融取引で、最も多く使用されるドルは、外貨準備としての需要もあり、為替市場においても活発に取引され、通貨別の取引シェアは40%ともいわれています。
ドルの特徴
ドルは世界の基軸通貨の地位を保っています。
為替市場でも圧倒的な取引量を誇り、ドルを中心に回っているといえます。
ドル円やユーロドルのスプレッドも狭いので、スキャルピングから長期トレードまで、幅広いトレードが対応可能な通貨となっています。
戦争が起こった場合の「有事の米ドル買い」という格言がありますが、流通量の多い米ドルを買っておけば安心とも言われています。
近年のリーマンショックなどの金融危機はドル売りになるケースもあります。
ドルの役割
ドルが重要な役割をしている根拠は次の5つです。
- 世界の為替市場での取引シェア
- 貿易で使われるインボイス通貨
- 国債金融取引
- 各国の外貨準備
- 紙幣の国外流通
このように世界的な需給バランスを吸収するために、流通量の多いドルが存在し世界経済への影響力の大きさや通貨価値が安定していることが、ドルが今も基軸通貨の地位を守っている理由といえるでしょう。
FXにおいてもドルは全ての通貨に対するバランサーの役割なのです。
ドルストレートとは?
米ドルは関係ないペアの取引でも、取引を仲介する役割を担っています。
FXでよく使われる「ドルスト」とは、ドルを含む通貨ペアのことを指します。
基軸通貨のドルだけドルストレートと呼ばれていますが、世界の貿易取引の金融決済は米ドルを介して行われます。
レートを計算する場合に、ドルは計算せずに済むのでストレート、他のドルを介さない通貨ペアは、計算しなくてはならないレートなので、クロスレートと呼ばれます。
米ドル(USD)はどんなニュース(指標など)に反応しやすい?
米ドル(USD)が最も影響を受けるイベントは、FOMCの金融政策、雇用統計の経済指標です。
予想との乖離でサプライズ的な動きになることが多いです。
また米国内情勢のニュースでも、ドルやダウに影響を与える場合があります。
日本は比較的アメリカの情報はよく入りますが、要人の発言など、翻訳するとニュアンスが変わりますので、問題の本質をよく理解することが必要です。
FOMC(金融政策)
米ドル(USD)に影響する金融政策で代表的なものが、米国の中央銀行のFRBが約6週間ごとに年8回開催する会合、FOMC(連邦公開市場委員会)です。
声明文はFOMC開催最終日に公表され、FRB議長の会見もあります。
FOMCの結果は為替市場に大きな影響を与えます。
利上げが決定すれば、通常はドル高になりますので、債券市場の金利低下で株式市場にマネーが流れます。
ダウ市場が上がりますのでドル円も上がることになります。
雇用統計(経済指標)
毎月第一金曜日に米国の労働省労働統計局が発表する雇用統計は、世界中のトレーダーが注目する、最も大きな指標イベントになります。
前月の雇用動向をまとめたもので、失業率・平均時給・非農業部門雇用者数などが重要です。
FXトレーダーが見るポイントは事前予想通りの結果か否かです。
予想通りの場合は為替市場は変動しませんが、数字が良ければドルが買われドル円が上がります。
逆の結果になれば株は売られてドルも売られますので、円高になりやすいです。
雇用統計の先行指標になりやすい、ADP雇用統計もチェックしておきましょう。
政治情勢(要人発言)
米国の政治情勢は為替レートに大きく影響を与えます。
政治情勢が不安定なほど自国通貨が売られることになります。
政治家の発言や要人発言でも為替市場にサプライズが起こる場合もあるのです。
最近は大統領がtwitterで発言する機会も多いですし、FRBの要人が為替レートに直接言及したり、景気の見通しなどでもマーケットに一定の波及効果があります。
テロ、内紛、戦争、貿易紛争でも為替に大きな影響がありますが、必ずしもドル売りになるわけではないので注意が必要です。
米ドル(USD)を含む通貨ペアでFXをする際の注意点
FXにおける米ドル(USD)の通貨ペアは、通貨取引高が多く流動性もあります。
特に日本のFXトレーダーは好んでドル円を取引する傾向にありますが、相場変動は小さめです。
対象的に豪やポンドはリスク通貨と位置付けられていますので、ドルと円とは逆相関的な動きで、ドルの急変時にはトレーダーに選好されます。
スキャルピング向き
日本国内のFX会社においては、ドル円のスプレッドは極限まで狭くなっています。
ですのでスキャルピングをするには、コスト的に有利になります。
東京市場においてはボラティリティに欠けるものの、テクニカルは比較的効きやすい傾向にあり、ロットのあるトレーダーは、少ないpipsでもスキャルピングを好んで取引する傾向にあります。
またファンダメンタルズ的に日米の情報がリアルタイムで入りやすいというメリットもあります。
ダウ先物に連動しやすい
ダウ先物は終日取引されていますので、連動するドルには注意が必要です。
ダウ先の急騰急落には、必ずドルのペア通貨が大きく動きます。
仕掛けのような動きになることも多いですが、ダウ市場が始まる前に巻き戻ります。
東京時間から欧州時間まで、独断的にダウ先物に影響を受けますから、国内事情より強いバイアスがかかることも珍しくないです。
同時に恐怖指数・原油・ビットコイン・金など他のマーケットも見ながら、マネーの向かう先を考えながらトレードをする必要があります。
円との乖離は注意
ドルは普段は円と連動して動く、リスクオフのグループ通貨です。
しかし円とドルが乖離した時は、ドル円がいつも以上に大きく動きますので注意が必要です。
この場合は、大口が目標レートまでレンジを想定していますので、しつこくジリジリと動き続けます。
ドル円を数円単位のレンジと捉えているスイングトレーダーが、レンジブレイクで一斉にロスカットされると、一気に円安や円高に向かう傾向があります。
ユーロが動いている場合は、ユーロドルが大きく影響を受けます。
ユーロドルは取引量が多いので、派手な動きはしませんが、一方向に動き出すとなかなか止まりにくいので逆行したら早めのロスカットをおすすめします。
「米ドル(USD)」のまとめ
ドルは基軸通貨として今もその地位を守っていますが、ドルはアメリカ経済そのものであり、アメリカの安定は世界経済の安定ともいえます。
FXにおいてもドルはファンダメンタルズが最も敏感に反応しやすい通貨でもありますから、日頃のニュースや経済情勢にも敏感に反応しなくてはなりません。
ドルの通貨価値が暴落する状況にあっても、ドルに対してユーロや円も金融緩和をしていますから、通貨のバランスからいってもドルの影響力は続くものと思われます。
相場の乱高下がある場合はニューヨーク市場は、退場確率が高いトレードとなりますのでロットを下げるか、波の比較的静かな東京市場でトレードをするのもリスクヘッジになると思います。